メアリ・シェリー『フランケンシュタイン』の為のメモ

かなり以前に読んだものだけれどちょっと書く。記憶を頼りに、本を傍らに置きつつ 当時の印象を再構築するので、間違い・勘違い等あるかもしれませんが御容赦を。いずれきちんと考える為のメモとして。 

 

一言で印象を述べれば、物凄く「閉じている」感じ。これは、だから駄目とかつまらないとか言う訳ではない。だから良い!って訳でもないですが。

物語の語り手は(確か)三人。ロバート・ウォルトン、ヴィクター・フランケンシュタインそして怪物。若々しくアウトゴーイングな海洋冒険家、不幸な事態を招いたとは言え奇跡的な業を成し遂げた天才科学者とその被造物である怪物。三者三様、全く趣をことにする人物がかわるがわる、かなり饒舌に語りつつも、作品のトーンが大きく変わることはない。 

 そしてまた、彼ら三人はかなりインターナショナルにあちこち移動するのであるが(具体的な地名は忘れた)、その移動によって空気の変化を感じ取ることは難しい。「どこへ行こうとも何も変わってないじゃないか」と思った気がする。

読み進めるほどに、閉じた空間の中で内へ内へと渦を巻いていく感じがしたのを憶えている。

もうこうなっちゃうと、つい、「怪物というのはなんとかかんとかの比喩で~」とか言いたくなるが、とりあえずグッとこらえよう。

 で、そんなことを思いながら解説を斜め読みしていると、エミリ・ブロンテの『嵐が丘』の文字が目に止まった。たいしたことが言及されているわけではないが、なるほど、これもまた「閉じた」印象を与える小説である。こちらはまさに閉じた空間で展開される物語であるけれども、2つの作品からはかなり近しいものを感じるのは確かだ。

ここら辺を取っ掛かりにして、19世紀の小説を読み解けたらなぁと思っているのだけれども、怠惰にして未だ果たせずにいるのでした。