読書

「他者」について/吉本ばななと村上春樹

"他者"とは、私の外に在り、私の思い通りにならず見通すことのできない者であり、しかも私が求めずにいられない者のことである。(柄谷行人)*1 日本の文芸批評において、「他者」、「他者性」という言葉が異常なまでに重視されてきた。もちろんこれは、柄谷…

MONKEY vol.4 届いた

久々の柴田元幸本であるMONKEY vol.4が届いた。予約特典のサイン+直筆原稿(コピーにあらず!)につられた次第。無料特典なのに、きちんとクリアファイルに入っていたのが嬉しい。しかし、何の作品の原稿なのかわからんぜ…。チラッと目を通そうとして、巻頭…

メモ「HHhH」ローラン・ビネ

「HHhH」(ローラン・ビネ著、高橋啓訳)を読了。 内容に関することは置いておいて、ちょっと気になったのが、182章(p.256)の冒頭。ここのところは<東方の三博士>の生き残りである「モラヴェク大尉」が、(1)「モラヴェク大佐」の誤りであるか、(2)以…

ブーツほしい

急にブーツが欲しくなったので、仕事帰りに買ってきた。初ドクターマーチン。デニムも買ってロールアップして合わせたい。 読書のほうは、ローラン・ビネの「HHhH」に取り掛かったところ。最近連続して「戦場のピアニスト」「シンドラーのリスト」を観たので…

カイユボット展とか

散々迷った挙句、ブリヂストン美術館の「カイユボット展」に行ってきた。予想通り、「好き」と言える画家では無い。『パリの通り、雨』における光る石畳の表現等は好きだが、回顧展で全体像を把握したいという気になるほどではない。 ゴンブリッチ『美術の物…

読了 『現代アートの哲学』(西村清和) 『饗宴』(プラトーン、森進一訳) 新潮文庫の森進一訳の『饗宴』では、ディオティマが、エロスの母は貧窮の女神ペニアであると語る。ペニアが「神」であるならば、ペニアの特徴はディオティマが自身がソクラテスに語…

読書メモ

『失われた時を求めて』(高遠弘美訳)は2巻読了。このまま3巻へ進むか、3巻を読み終わったら、高遠訳の4巻は出ていないがどうするか。 『現代アートの哲学』(西村清和)は、第9章を読んでいるところ。 最初のほうは大変面白く読んでいたのだが、5章・6章で…

買物

『美学への招待』(佐々木健一)読了。やはりあまり語りが上手いとは思えないが、個々のトピックはかなり面白いものを扱っているので、取っ掛かりとしてはいいかも。しかし、著者は自分の立てたキーワードに耽溺しすぎている嫌いがあると思う。第七章の「し…

『西洋美学史』『美学への招待』

『西洋美学史』(小田部胤久)を読了し、『美学への招待』(佐々木健一)を読み始めた。普通ならば読む順番が逆であるべきなのだろう。どちらも初学者向けとは言えようが、ある程度本気で取り組む気が出来ている人が手にするであろう前者と、まったくの一般…

クロード・シモン『フランドルへの道』

書こうか書くまいか迷ったが、書く。 もうこれは今年のベストとかいうレベルではなく、オールタイムベストに入ってくる作品。「もし、自分が書いたことに出来るとしたら何を選ぶ?」という設問が、確か柴田元幸のエッセイにあったような気がするが、今この瞬…

読書中/クロード・シモン『フランドルへの道』

世界中にウン万人はいるであろうクロード・シモン挫折者の皆様こんばんは。 かくいう私も、「ヌーヴォー・ロマン!?(よくわからんけど)読まねば!」などと思い書店に駆け込み、クロード・シモン『フランドルへの道』を購入。さあ、読むぞと気合を入れたがあ…

画家>彫刻家

アレント『人間の条件』(志水速雄訳・ちくま学芸文庫)を何度目かの再開。読み終わるのかどうか不安になるのも通り越し、結構楽しめている…気がする。 ともかく、いまだ第三章「労働」なんであるが、結構面白い記述があった。古代ギリシアにおいて労働がい…

ナボコフ『セバスチャン・ナイトの真実の生涯』読了。 次は何にしようかといろいろ迷ったけど、リョサ『チボの狂宴』に。 アレント『人間の条件』が第三章頭で止まったままである…。 ぼちぼち頑張るつもり。

『abさんご』黒田夏子(仮)

最新の芥川賞受賞作を読むなどということは、ついぞしたことが無かったのですが、web上で公開されていた冒頭部分を読んで我慢が出来なくなり、単行本を購入しました。 結論から言えば、大変素晴らしかったです。 作品が素晴らしいと、自分の言語化能力の乏し…

ここ何日か

伊藤計劃×円城塔『屍者の帝国』、黒田夏子『abさんご』読了。 『abさんご』に関しては別に何か書きたいと思う。 ナボコフの『セバスチャン・ナイトの真実の生涯』を読み始める。「真実の」なんてところからしてすでに、怪しさがぷんぷんである。 アレントの…

大晦日

大掃除は昨日済ませた。といっても、例年とは違い普段の掃除に毛が生えた程度のものでお茶を濁したのだが、まぁ仕方が無い。 年の瀬には何故か本をまとめ買いしたくなるので、午前中から池袋へ。ジュンク堂→リブロとはしごする。以下を購入。 『ナボコフ全短…

村上隆完全読本を買ってきた

村上隆が、「オレのフィギュアがキモイ?それはお前らのキモさだ」という具合に、オタク界隈に対して明確に反対の立場をとっているならば、これは話は簡単。実際、自分は最初そのように(所謂「挑発」として)読んでおり、そういう意味では有効に機能しているなと…

メアリ・シェリー『フランケンシュタイン』の為のメモ

かなり以前に読んだものだけれどちょっと書く。記憶を頼りに、本を傍らに置きつつ 当時の印象を再構築するので、間違い・勘違い等あるかもしれませんが御容赦を。いずれきちんと考える為のメモとして。 一言で印象を述べれば、物凄く「閉じている」感じ。こ…