読書中/クロード・シモン『フランドルへの道』

世界中にウン万人はいるであろうクロード・シモン挫折者の皆様こんばんは。

かくいう私も、「ヌーヴォー・ロマン!?(よくわからんけど)読まねば!」などと思い書店に駆け込み、クロード・シモン『フランドルへの道』を購入。さあ、読むぞと気合を入れたがあえなく挫折。以後、(1)少し読む(2)期間が空く(3)1ページ目からやり直し、この(1)~(3)の手順を繰り返しつつ、これはもう駄目かもしれんねなどと思っておったわけです。ちなみに最高到達点は60数ページだった模様。いつのことだったかはもう忘れた。

 

何故、『フランドルへの道』を選んだかというと、記憶を掘り起こしてみるに、何と無く格好良さそうだったからというしょうも無い理由と、大西巨人の『神聖喜劇』にフランドルに関する詩が出てきたからという、もうちょっとましに思える理由があった気がします。かなり強烈なイメージを残したその詩と、<フランドル><戦争>という共通項を持って繋がる作品なら、幾らか入り込みやすいだろうと思ったんでしょうか。まぁ、その目論見はあっさり崩れたわけですが。

 

ところで最近、戦争や歴史を感じさせる映画や本を意識的に、集中して(という程でもないが)観たり読んだりしていました。きっかけはあるような無いようなといった感じなのですが、割愛します。で、リョサの『チボの狂宴』を読了したところで、次に何を読もうかと。あー、そういえば『フランドルへの道』があったねということで、また1ページ目から読み始めたわけです。もちろん読了しようとか、出来るなんてこれっぽっちも思わずに。

 

いやー、のっけから凄いじゃないですか!雨と馬と泥濘と汗と垢。蹄の生み出す地鳴りと機銃掃射。全てがない交ぜになりつつ、読み手をぐいぐい引っ張っていく。これだよ、これ!こういう体験をしたくて買ったんだよ!どうして今までこの凄さに気付かなかったんだろう。と自分の不明を恥じつつも、毎日少しづつ読んでいます。なんというか、自分のなかに入ってくる感じが凄くいい。あ、ぐいぐい引っ張られるんなら一気に読めよと言う声に対しては、「それは無理」と断言します。スピードだけが没入度を測る指針では無いのですよ。

 

読み終えたらちゃんと何か書きたいけれども、何も書けないんだろうなという気もする。

第一、お前本当に読み終えるのか?という疑問もまだちょっとだけ無くも無い。いや、もう大丈夫だと思うけど。

とにかく、久々に好きな作家・作品のオールタイムベストに名を連ねそうな作家・作品に出会えたことは幸せだなぁと、しみじみ思うわけです。

 

そうそう、『農耕詩』もう買っちゃいました(気が早い)。