『西洋美学史』『美学への招待』

『西洋美学史』(小田部胤久)を読了し、『美学への招待』(佐々木健一)を読み始めた。普通ならば読む順番が逆であるべきなのだろう。どちらも初学者向けとは言えようが、ある程度本気で取り組む気が出来ている人が手にするであろう前者と、まったくの一般向けの新書である後者とではとっつきやすさに相当の隔たりがある。

 

さて、そのまったくの一般向けに書かれた『美学への招待』である。著者は美学における権威であり、中々に評判がいい本のようだ。しかし、残念ながら、専門家が一般・初学者向けに平易に書こうとして逆に、そのジャンルが持つ魅力を捨象してしまった例の一つに思えてならない。

何とか身近なもので例えようと努力していることは認めるが、それに対する著者の感想がちょっとずれているように感じる。あとがきで触れている「です・ます調」の効用も、悪いほうに作用しているようにしか思えない。

とまあ、酷い事ばかり書いたわけですが、まだ読み始めたばかりですし、先に書いたように評判がよろしいようなので、がんばって最後まで読んでみようと思う。同じ著者なら、『美学辞典』のほうが自分向きかもしれないので、購入を検討中。

 

『西洋美学史』は途中ちょっと惰性で読んでしまったが、思い直して、ヘーゲルあたりからノートを取りつつしっかり読んだら、すこぶる面白かった。終盤は、いくらか馴染みのある問題・概念を扱っているからということもあるだろうが。再読する際には、最初からきちっとノートをとりつつ読みたい。