村上隆完全読本を買ってきた

 

村上隆が、「オレのフィギュアがキモイ?それはお前らのキモさだ」という具合に、オタク界隈に対して明確に反対の立場をとっているならば、これは話は簡単。実際、自分は最初そのように(所謂「挑発」として)読んでおり、そういう意味では有効に機能しているなと思っていました。

では外(日本国外・非オタク)に対してはどうか?新しいアブジェクシオンなものの提示でしょうか。人体の内臓・死・排泄物etcあらゆる物が出尽くした後でなお「おぞましさ」を感じさせてくれるものを提供した、とか。そんな人なのかなぁと、自分は遠巻きに眺めていた訳ですが。

しかし、村上隆は単純な「オタクの敵」としての立場をとらない。それどころか「オタク文化の翻訳作業」をしていくなどと語ってくれちゃったりするのです。このねじれというか、ダブルバインドというか。

オタク界隈の人にしてみれば「俺らのキモさをああも世界に晒してくれたくせに、何でそんなこというの?」となるのではないでしょうか。

この「ねじれ」のせいでより炎上が激しくなっている気がするのですが、そこも含めて「おり込み済み」であるならば中々凄いなぁと思う訳です。

でもまぁ、有名なフィギュアに代表されるような、あからさまに「キモイ」作品はごく一部だったりするので(ですよね?)、以上は全て戯言なんだろうな。

 

以上は2年程前に自分が記した文章です。何かしらの「炎上」騒ぎがあったんでしょうね。よく憶えてないですが。

村上隆は昔から中々気になる存在で、折に触れてチェックしていたわけですが、現代美術に関する自身のリテラシーの無さは何ともし難く、所詮上記のような認識にとどまる訳です。あ、ニコ生で観たヴェルサイユでの金色のカッパ(?)とか中々好きかもしれんです。ハイ。

てな訳で、twitter上に流れてきた「やたら分厚い村上隆本が発売された」との情報を手に入れた私は、即本屋へと走った(嘘)のです。あー、確かに厚い。この質感というか佇まいは何かに似ているな。辞書?いや違う。そうだ、アルティマニアだ!などと思いつつ、寝っ転がってペラペラ捲っているのでした。現代美術を語るのに必要なリテラシーを手に入れるのは、まだまだ先になりそうです。

あ、装丁はかなり良いと思います。

 

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