『ジャイアンツ』(野球チームではない)

ぼそぼそと、どうにも頭の良くなさそうな受け答えをするロック・ハドソン。厚化粧に趣味の悪いピンクのドレスを着てビッチにしか見えないエリザベス・テイラー。両者は何故か一目ぼれをし、エリザベス・テイラーは僅かのためらいも無く交際相手を忘却のかなたへと放逐、大地主であることしかとりえのなさそうな(しかしそれが決定的に重要か?)ロック・ハドソンと結婚する。つがいとなった二人はテキサスの大牧場へと向かう。そこには、実質的な家長として権勢をふるう小姑と、挙動不審な変質者にしか見えないジェームス・ディーンがいる。ロック・ハドソンはホームグラウンドへ帰るや否や、頑迷な南部の男の本性を遺憾なく発揮し、ジェームス・ディーンはあからさまにエリザベス・テイラーへの好意を示す。もはやこの先の安っぽい展開は見えたも同然で、とすれば、いったい何を楽しみにこの映画を観たらいいのか。テキサスの、地平線まで続く荒野と夥しい牛の群れにアメリカ性なるものを見出して、しみじみすればいいのだろうか?

「でもまだ2時間以上あるよ?」と思って観ていた私なんぞは、鑑賞眼や映画リテラシーなどといったものをまったく持たぬ間抜けであることがすぐに判明する。そのぐらい中盤から俄然面白くなるので、興味のある方は観て下さい(手抜き)。いざとなったらグーパンに物を言わすアメリカ的父親のロック・ハドソンに、チャールズ・インガルスを思い出したのでした。いや、本当に面白いから。